失敗しない選定ポイント
WMSの基本機能
WMSの比較検討のためにも知っておきたい、WMSの一般的な基本機能は以下です。
- 在庫管理 在庫リスト作成、マスタ管理、ロケーション管理、期限管理等
- 入荷管理 スケジュール管理、入荷リスト作成、ハンディターミナルとバーコードでの検品等
- 出荷管理 スケジュール管理、ピッキングリスト作成、ハンディターミナルとバーコードでの検品等
- 棚卸管理 差異リスト作成、ハンディターミナルでの棚卸し等
- 返品管理 返品リスト作成、返品検品管理、返品履歴管理等
- 帳票・管理ラベル発行機能 帳票・のし・送り状・商品管理ラベルの発行等
WMSの提供形態
WMSの提供形態には、クラウド型・パッケージ型・オンプレミス型の3種類あります。WMSの提供形態の違いは、WMSの比較検討にも役立つ、知っておきたいWMSの基礎知識の1つです。
クラウド型は、インターネットを通じて、他社が構築・所有するサーバーシステムを使用します。使用料の支払いが毎月必要ですが、手間をかけずに早期導入が可能で、導入費用も安いです。
パッケージ型は、製品として完成しているソフトウエアを購入し、自社のパソコンへインストールして利用します。オプションの有無にもよりますが、導入費用はクラウド型よりも高く、オンプレミス型よりも安くなることが多いです。カスタマイズ性は乏しいですが、手軽に短期導入できます。
オンプレミス型は、自社で所有するサーバーを構築・運用するため、自社に最適なカスタマイズが可能です。また、自社に必要なセキュリティ条件にも合わせられます。しかし、導入費用が高く、運用や保守のための人件費も必要です。
WMSを比較選定する際の7つのポイント
ここでは、 WMSを比較選定する際のポイントを紹介します① 目的に応じる機能
WMSの機能や性能は、商品ごとに違いがあります。WMSを比較選定する際には、自社のWMS導入目的に即した機能や性能を備えたWMSを複数選び、その上で比較検討しましょう。
例えば、リアルタイムで在庫の位置情報を知りたい場合はロケーション管理機能を選ぶなどです。また、入出荷や棚卸しの効率を上げたい場合は、ハンディターミナルを用いたバーコード読取機能を備えたWMSなどを選ぶと良いでしょう。
② 予算・規模・要望に沿う提供形態
自社の予算・規模・要望に沿う提供形態のWMSを選びましょう。一般的な導入費用はクラウド型・パッケージ型・オンプレミス型の順に高くなり、クラウド型やパッケージ型は手軽な短期導入が可能です。カスタマイズ性は、オンプレミス型が優れています。
小規模・中規模企業が導入費用を抑えたい場合や複数拠点を手軽に管理したい場合は、クラウド型やパッケージ型がおすすめです。オンプレミス型は、大規模企業や海外拠点を持つ企業、一般的な倉庫管理システムがマッチしない企業などに適しています。
③ 企業規模・業種・業界との適合性
小規模企業向けや大規模企業向けなど、対象規模が決まっているWMSもあるため、今後の展開も含めた自社の規模に見合うWMSを選択しましょう。また、あらゆる業種に対応するWMSもあれば、医薬品業界をはじめ、特定の業種や業界に特化したWMSもあります。
④ 求めるシステム・サービスとの連携性
WMS導入の効果を高めるために、他のシステムやサービスと連携するケースも少なくありません。しかし、WMSごとに連携できるシステムやサービスには違いがあります。導入前に、求める連携ができるWMSかどうかを確認しておきましょう。また、自社の基幹システムと連携できるWMSも多いです。
⑤ 適切な価格
予算に収まる適切な価格のWMSを選ぶことも、比較選定のポイントです。また、初期費用のみだけでなく、維持管理コストも含めて、自社に適した価格のWMSかどうかを熟考しましょう。
WMSの初期費用は、WMSの提供形態により大きく変動します。相場は、クラウド型が40〜50万円程度、パッケージ型が300〜500万円程度、オンプレミス型が数百万〜1千万円以上です。パッケージ型には、機能が大幅に限定される数千円~数万円の商品もあります。また、クラウド型は、初期費用の他に月額料金や従量課金での月額使用料の支払いが必要です。
⑥ 求めるサポート内容
以下をはじめとするWMSのサポート内容は、商品ごとに異なるため、自社が求めるサポート内容を備えたWMSを選びましょう。
- 導入から稼働までのサポート
- 稼働後のサポート
- 遠隔操作サポート
- マニ365日電話サポート
- 24時間サポート
⑦ 使いやすさ
WMSの魅力の1つが、業務の標準化の実現です。しかしながら、システムに不慣れな人でも使いやすいと感じるWMSを選定しなかった場合、作業の効率が下がったり、ミスが増えたりする恐れもあります。
WMSの中には、使いたい機能のみ選べる、直感的に操作可能な管理画面を採用するなど、使いやすさにこだわったWMSもあります。
WMSの導入時に注意すべき点とは?
次にWMSの導入時に注意すべき点をご紹介します。
導入目的と必要な機能の洗い出し
導入目的が曖昧だと、WMSに求める機能についても明確な判断ができないため、自社に適したWMSを選定できない恐れがあります。
まずは、なぜWMSを導入したいのかを検討しましょう。例えば、WMSでピッキングや検品作業の効率を上げたい、WMSで賞味期限切れの不良在庫を削減したいなどです。
続いて、導入目的のために必要なWMSの機能やスペックを洗い出します。例えば、検品作業の効率アップが目的なので、ハンディターミナルによる入出荷検品機能が必要などです。
費用対効果を見込めるか検討する
WMS導入には、手間がかかり、費用も必要です。そのため、将来的にWMS導入費用を回収し、さらにどの程度の利益が見込めるのかを検討しましょう。
残念ながら、WMSを導入しても期待する効果を得られないケースもあります。例えば、取扱商品数が少なく、少数の従業員で対応可能な企業などです。しかしながら、今後事業の拡大や従業員の増員を予定している場合は、ぜひWMSの導入をご検討ください。
自社の課題を解決できるか検討する
WMSの導入により、自社の倉庫管理の課題を解決できるかどうかを検討します。例えば、WMSの導入には、これまで悩まされていた入出荷作業の人的ミスの減少を期待できるなどです。
WMSを導入すると作業の自動化が進むため、人的ミスが減ったり、人件費が減ったり、賞味期限切れの在庫を無くしたりなど、様々な効果を期待できます。
従業員への説明や教育に力を入れる
WMS導入により、これまでと仕事のやり方が大きく変わる場合には、従業員からの反対も予想されます。そのため、事前に従業員へWMS導入によるメリットをきちんと説明し、理解を得る必要があるでしょう。
さらに、WMSをスムーズに導入するための準備として、マニュアルの作成や従業員への教育もかかせません。従業員への説明や教育に不安を感じる場合は、導入サポートの手厚いWMSを選ぶのも1つの方法です。
まとめ
WMSを比較選定する際には、
自社の導入目的や予算に適した提供形態・機能を備えた商品を選びましょう。
また、選定比較するWMSと自社の企業規模・業種・業界との適合性も大事なポイントです。さらに、求める連携性やサポート、使いやすさを備えたWMSかどうかも確認しましょう。
導入時には、WMSの導入目的と必要な機能を洗い出し、従業員の説明やマニュアル作成などにも力を入れると、スムーズな導入が期待できます。加えて、費用対効果を見込めるかどうかについても、検討するのがおすすめです。